あじさい F10号 1937年頃
新緑風景 P10号 1950年頃
婦人像 22.7×15.8cm 1931年
山荘の庭 F80号 1978年
春村 50号 1966年
展示風景
展示風景2
展示風景3
展示風景4
展示風景5
展示風景6
展示風景7
展示風景8
展示風景9
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2018年6月25日(月)- 7月13日(金)
11:00 - 18:00(土曜、最終日は17:00まで)日曜休廊
中尾彰(なかお・しょう/1904~1994)
白銅鞮画廊では3年ぶり、21回目の展覧会となります。
島根県津和野に生まれた中尾彰は、十代を満州で過ごしました。絵で生きていくことを夢見て上京し、いわゆる〈池袋モンパルナス〉の一員として、独立美術協会の第1回展(昭和6年)から60回展まで出品を重ねました。画壇的系列から言えば、フォービズム(野獣派)に入るのでしょう。しかし、若いころの一時期にその洗礼を受けた後は、次第にその野性味を洗い落とし、全く正反対の、詩的で優美な色面を輝かせました。荒々しい大作の多い独立展の中で中尾彰の絵は、ひとつのオアシスなどとも言われたものです。
世俗への妥協や安易を排し、初心の純朴を長くもち続けた作品は多くの文学者にも愛されました。長年にわたって文学同人誌「日暦」の表紙絵を担当し、また武井武雄、初山滋らと共に子供のための美術運動を興し、多くの童詩、童謡、童画を手掛けました。特に坪田譲治は、著作の挿絵に長く中尾を指名していましたので、二人のコンビによる童話集や随筆集は60冊にもおよびます。
残念な事に、戦中と、また戦後にも火災によって多数の作品が失われ、そのことが画業の紹介の機会を少なくしたことの理由の一つとして挙げられます。しかし、近頃には芥川賞作家、南木佳士さんの新刊 「小屋を燃す」(文藝春秋社)の装幀に中尾の挿画が使われるなど、中尾彰の作品は、今も時代を超えた魅力を放ち続けています。中尾彰の描く緑の野、緑の丘、緑の樹たちの、あのあたたかな、匂う絵の美しさを、是非ご覧ください。